10/11 Asian Board Games Festival
世間のボードゲーマーの注目がエッセンに集まる中、私は10月10日に日本を飛び立ち、11日にシンガポールに到着、そのままAsian Board Games Festivalに参加しました。
このイベントは、アジア各地のボードゲーム製作者が集まり、そのゲームを紹介・試遊・販売するイベントです。
シンガポールのOrigameさんが主催し、台湾からTaiwan Boardgame Designさん、Moaideasさん、Play With Us Designさん、タイからはBoard Game Academyさん、日本からはSaashi & Saashiさんといった面々が参加しました。
このOrigameのデザイナー、Daryl Chowさんは、OverbookedやThe Artemis Projectといった作品をデザインした人物であり、Okazu Brand作品の英語ルールブックを作って来た人物でもあります。
会場の風景。
収容人数100名程度の小さな会場でしたが、大盛況でした。
販売ブース。
では、この日遊んだゲーム。
Coffee Shop
今回遊んだタイのゲームその1。
材料を買い揃えてお客さんにコーヒーその他の飲み物を提供するゲーム。
ラウンドの最初に材料を購入します。場に登場した材料の中から、スタートプレイヤーが欲しい材料を選びます。その材料で競りを行い、最高額を付けた人が材料を購入します。材料を購入したプレイヤーは、そのラウンド中は全員が1個ずつ材料を購入するまで競りに参加できません。
材料の購入が終わったら、お客さんが登場します。お客さんに対応した材料を揃えているプレイヤーは、そのお客さんを獲得し、お金と勝利点の報酬が得られます。ただし、材料を揃えたプレイヤーが2人以上いる場合は報酬金額の入札を行い、最低額を付けたプレイヤーがそのお客さんを獲得します。
その後、全プレイヤーに2金が配られます。この時プレイヤー間で材料の取引を行なっても構いません。
ここまでが済んだらスタートプレイヤーを交代して次のラウンドに進みます。
いずれかのプレイヤーのお客さんの得点が10点に達したら得点計算。お客さんの得点に所持金を得点換算したものを加えた値で勝敗を決めます。
多少は金銭的に無理をしてお客さんを取りに行かないと勝てませんが、お金も勝利点になるので、使い過ぎには注意が必要です。
見た目とは裏腹の厳しい競りゲームです。
Serial Killer
タイのゲームその2。警官、市民、キラーに分かれて遊ぶ正体隠匿ゲーム。
ランダムに役職カードを配り、警官だけが身分を公開します。
キラーは市民に何らかの合図、例えば目配せや指差しなどを送り、その合図を受け取った市民は死亡します。警官はその様子を観察し、キラーを探します。全市民を死亡させたらキラーの勝ち、警官がキラーを全員摘発したら警官と市民の勝ちです。
他プレイヤーの役職を公開できるジャーナリストや合図を受けても1回だけ耐えられるタフガイなど、特殊な役職も多数存在します。
いわゆるウィンクキラーの系統に当たるゲームです。ウィンクキラーを楽しめる人なら楽しめるでしょう。
実はこのゲーム、昨年タイに行った時に買っていたのですが、タイ語が分からずに放置していました。今は英語ルールが出来ているので、タイ語が分からない人も安心です。
V-Virus
タイのゲームその3。
感染者とそうでないプレイヤーに分かれて戦う正体隠匿ゲーム。感染者はウィルスカードで感染者を増やし、そうでないプレイヤーはワクチンでウィルスカードを除去するか、感染者を倒すかして感染を食い止めます。
各プレイヤーは最初2枚のウィルスカードを持ち、ランダムに配られたカードの中にウィルスカードが入っていたプレイヤーが最初の感染者になります。
手番になったらカードを引き、手札を使用します。1回の手番中、X線カードを使って他プレイヤーの手札を見るか、ナイフや銃のカードを使って他プレイヤーを攻撃するか、手札1枚を他プレイヤーと交換するかのどちらかを行わなければなりません。交換によってウィルスカードを送り込まれたら、そのプレイヤーは新たな感染者となります。ただし、自分が手袋を交換に出した場合は、ウィルスを送られても感染者になりません。ワクチンカードを引いたらウィルスカードを全て捨てます。
攻撃によってライフが0になったプレイヤーはゲームから脱落します。全員が感染者になったら感染者の勝ちです。プレイヤーの脱落やワクチンの効果でこれ以上感染が広がらなくなったら感染者以外のプレイヤーの勝ちです。
今回は全員X線カードを引けなかったために手がかりを得られず、あっさり感染が広がって終わりました。カードの引き運に左右される部分が強すぎるのかもしれませんが、1回のプレイでは断定できません。要検証です。
Chope!
Origameの作品その1。
スピード系とバースト系の2つの要素を持つゲーム。
手番プレイヤーは1枚ずつカードをめくっていきます。
料理が出たら、それは手番終了時に自分のものになります。ただし、同一の料理が2枚出てしまったら、その手番では料理を1枚しか獲得できません。
テーブルが出たら、自分のカードをChope(予約)の面を上にして重ねます。最も速かったプレイヤーがテーブルを獲得します。
鴨が出たら、自分のカードをSiam(回避)の面を上にして重ねます。最も遅かったプレイヤーは料理を1枚失います。
同じ料理を2枚めくるか、手番の終了を宣言したら次のプレイヤーの手番になります。
ゲーム終了時、テーブルと料理のセットが得点になります。余った料理、余ったテーブルは共に減点になります。
スピード系とバースト系の要素がうまく溶け合っていないように感じました。一方が伸び悩んだ場合、減点を避けるためにはもう一方の獲得を控える必要があるのですが、この行動には気持ち良さを感じません。これなら普通のスピード系、ないしはバースト系を遊んだ方がいいように思います。
Mooncake Master
Origameの作品その2。
タイルを並べて月餅を作るゲーム。
毎ラウンド、プレイヤーは12枚のタイルで3つの月餅を作ります。
各プレイヤーは同時に手番を行います。まずタイルを3枚ずつ受け取り、1枚を自分のものとし、残りを左右のプレイヤーに1枚ずつ渡します。その後、3枚のタイルをどこに配置するかを決めます。
これを4回繰り返し、3つの月餅を作ったら得点計算です。
色の統一感や種の数などで評価点を算出し、評価点の最も高いプレイヤーは2点、低いプレイヤーは0点、残りは1点を獲得します。
また、お客さんの出した条件を満たした月餅があれば、1点を獲得します。お客さんの枚数はラウンドごとに増えます。
3ラウンド終了時の得点合計で勝敗を決めます。
こちらはファミリーゲームとしてなかなかうまく出来ています。
自分の盤面と両隣の盤面を見ながらタイルを選ぶというのは、処理すべき情報が多すぎず少なすぎずちょうどいいという印象を受けました。
他プレイヤーにとって扱いにくいタイルを送るところまで考えるとなるとゲーマーの思考が求められますが、操作自体は簡単なので、そこまで考えなくても十分に楽しめるように出来ています。間口の広い作品と言えるでしょう。
以上で10月11日のAsian Board Games Festivalの報告を終わらせていただきます。