さて、前回に続いての北京報告、今回はいよいよDICE CONの報告です。
8/26 DICE CON
8月26日、今回の北京行きの主目的であるDICE CONに無事入場できました。
販売中止になっていたDICE CONのチケットをどうやって入手したかについては前回の記事をどうぞ。
翻訳家のT.Mizutaniさんと落ち合い、チケットを受け取った後、彼と共に会場を回りました。
こちらが今回参加した企業・団体です。
入り口では持ち物の検査があり、改めてここが中国政府のお膝元であることを実感しました。
巨大勢力アスモデ
入り口に入ると、いきなり正面にアスモデのブースがありました。写真ではアスモデロゴが白く飛んでいますが、ご容赦ください。
アスモデは中国でも大きな影響力を見せつけているようです。
台湾勢
正面左側にはスワンパナシアのブースがありました。
他にもモアイディアズなどが大きなブースを構えており、アジアの中では台湾勢が大きな勢力になっていることを改めて感じさせます。
盒中闪电
以前このブログで紹介した「古董局中局」「平遥」の盒中闪电のブースはこんな感じ。
折角ですので、過去にこの2作について書いた記事にリンクを貼っておきます。
新作の「敦煌」は、壁画を作るゲーム。26日時点で販売はしていなかった(おそらく売り切れ)のですが、試遊を見た感じだとタイル配置ゲームのようです。
盒中闪电さんは熟練ゲーマーのプレイにも堪えうる戦略的なゲームを作っているようなので、今後も注目していきます。
日本勢
日本勢のゲームもちらほら見かけました。
東京サイドキック。
こちらは「ヒトトイロ」の中国語版。
他にも日本のデザイナーが作ったゲームがいくつかありました。
さて、ここからは個別のゲームの紹介。
Symphony No.9 第九號交響曲
モアイディアズの新作。
モーツァルトやベートーヴェンなど作曲家のパトロンとなって楽譜を集めるゲーム。
ラウンドの最初に、ボードに置かれた寄付キューブを取っていきます。最初に無料で2個取り、その後お金を払えば追加で取れます。
ボードに残ったキューブの数によってその時点での作曲家の評判が決まり、無くなると作曲家が死亡します。
次に、各作曲家について、影響力の最も大きいプレイヤーがその作曲家の楽譜を獲得します。楽譜は得点源になりますが、得点の計算方法は楽譜ごとに違います。
その後、ロイヤルコンサートに全員一斉に寄付をし、その総額と作曲家の評判に応じてコンサートに登場する作曲家を決めます。コンサートに登場する作曲家の寄付キューブを持っているプレイヤーはお金を獲得し、また最も多額の寄付をしたプレイヤーはボーナスを得ます。ただし、総額が少なすぎたり多すぎたりするとコンサートは失敗し、少なすぎた場合は最も少ない額を寄付したプレイヤーが、多すぎた場合は最も多い額を寄付したプレイヤーがペナルティを受けます。
規定ラウンド数が終わった時点で得点を集計し、最も得点の多いプレイヤーの勝ちです。
初見では楽譜の狙い目や強弱がよく分からず、今ひとつ明確な戦略を立てられませんでした。例えば、死亡した作曲家の数に応じて得点が決まる楽譜がありましたが、このゲームではどのくらい作曲家が死ぬのかの相場が分かっていないと、この楽譜の価値を評価するのは困難です。
コンサートの一斉寄付の値付けがこのゲームの肝だとは思うのですが、これも楽譜の強弱が分かっていないと判断が難しい印象です。
この辺りの複雑さを乗り越えて初めて本格的な駆け引きが出来るゲームだと思います。よって、あと1〜2回遊んでからでないと最終的な判断は下せないと思います。
接頭任務
他プレイヤーに質問して、人物カードの中から自分がコンタクトすべき人物を当てるゲーム。
人物カードには、食べ物と飲み物がそれぞれ1つずつ書いてあります。
各プレイヤーが、自分だけが知らない番号カードを1枚持ち、当てるべき人物を決めます。
手番になったら、以下の2つのうち1つを行います。
・自分の当てるべき人物が特定の食べ物もしくは飲み物を持っているかどうか、他のプレイヤーを指定して質問する。
質問されたプレイヤーは、質問に答えるか、アクションカードを使って回避します。
・自分のカードを当てる
自分のカードの当たりがついたら、自分のカードを当てます。当たったらゲームに勝利、外したらゲームから脱落します。
これを繰り返して誰かが自分のカードを当てるか、1人以外脱落したらゲーム終了です。
ざっとプレイした感じでは、ゲーム展開の幅が狭く、物足りない印象でした。
拼分夺秒
建物の崩落に巻き込まれた被害者の周りに、時間内に救援物資のタイルを配置するゲーム。
レベルごとに被害者の位置やレベル、タイルを置く範囲が決まっています。被害者にはそれぞれ必要な救援物資があり、それが書かれたタイルを隣接する場所に配置する必要があります。
砂時計で時間を計りながらタイルをめくり、被害者の周りに配置していきます。配置する際は、隣り合うマークが同じである必要があります。
時間切れになった時、埋まらなかった場所、正しく連結していないタイル、救援物資の不足分が減点となります。減点が最も少ないプレイヤーの勝利です。
他プレイヤーが引いて使わなかったタイルを取れるという要素はありますが、ほとんどソロプレイのパズルです。
いくら引いても目的の救援物資が出ない場面があり、ストレスが溜まりました。ルール解釈を間違えた可能性もあるのですが、ここには改善の余地があるような気がします。
Monkey Island 猴岛
島に0〜3のバナナタイルを配置し、その上に猿駒を置いて得点を取るアブストラクトゲーム。
毎ターン、ボードにバナナを置くか、バナナタイルの上に猿を置くかします。
同じ島の縦横に同じ数字のバナナを置くことはできません。島の境界を挟んだ2ヶ所のマスには同じ数字のバナナを置く必要があります。
猿を置くと、そのマスのバナナと、上下左右のマスの、猿がいるマスと同じ色のバナナが得点になります。各プレイヤーは猿を3つ持っています。
0のバナナは特殊で、置くと同時にそのタイルの上に猿を置けます。
誰もタイルを置けなくなったらゲーム終了です。猿の得点を集計し、置けなかったバナナタイルの減点を集計し、得点の高いプレイヤーの勝利です。
アブストラクトは苦手な私ですが、愛らしい猿の駒のおかげで肩の力を抜いて楽しめます。子供やファミリーにお勧めです。島の配置によって展開にバリエーションが出るのもいいところです。
その他
他に見かけたもので気になったものを紹介します。
中国では、各プレイヤーがそれぞれの脚本を持って遊ぶ一回限りのゲーム「謀殺之謎」シリーズが人気のようで、多くの作品が出ていました。美麗なアートワークにも感服です。
汉富というのは、確か中国の大きな会社だったはず。そんなところがボードゲームに手を出してくるとは驚きました。
武林郡侠传。
武侠好きとしては気になりますが、私が行った時は展示のみでした。
電源系ゲームの展示も少しだけありました。
今回は入場チケット販売中止の影響もあり、想像以上に来場者が少なかったですが、その分余裕を持って回れました。なお、来場者数は土曜日の方が多かったようです。
また、インディー系の出版社はさほど多くありませんでした。インディーズ系を追うなら、上海のSHADOW MARKETの方がいいのかも知れません。
DICE CONの報告は、大体こんな具合です。
最後になりますが、今回はT.Mizutaniさんに非常に助けられました。まだまだ中国語の聞き取りが出来ていない私がこれほどまでにDICE CONを楽しめたのも、ひとえにT.Mizutaniさんのおかげです。特にルール説明を訳してくれたのには大感謝です。
今日は、T.Mizutaniさん @T_Mizutani と共にDICE CONを回りました。私はまだまだ中国語の聞き取りが出来ず、T.Mizutaniさんにすっかり頼り切ってしまいました。また中国語学習のやり直しです。
— Sugoroku Kozo(双六小僧) (@sugoroku_kozo) 2018年8月26日
以上が8月26日の報告です。
8/27 T.Mizutaniさん、沢田さんとの会食
実は8月26日、ニューゲームズオーダーの沢田さんと会場で遭遇しました。彼曰く、日曜日の午後に来たらチケットを買えたとの事で、一体販売停止は何だったのかという思いがあります。
で、27日の昼にT.Mizutaniさん、沢田さんと3人で一緒に食事をすることになりました。場所は西单の餃子のお店です。
ここではボードゲームの話、三国殺とYoka Gamesの話、北京と上海の話、桃花島の話、茶館の話など、色々な話が出ましたが、具体的な内容は割愛します。
会食の後は、特に観光する気も起きず、そのまま空港に移動して中国を後にしました。
以上で私の北京報告を終了します。
次回予告
次回はジャカルタのイベントC3 AFA、そしてそれと同時開催されるイベントGame Startの報告を予定しています。乞うご期待!