双六小僧の新・ボードゲーム放浪記

東京近辺のボードゲーム会を放浪するゲーマー双六小僧が、遊んだボードゲームや参加したボードゲーム会、ボードゲームカフェなどについてあれこれ書くブログです。

5/2キャッシュフローに親しむ会

5月2日、天岩庵でのキャッシュフローに親しむ会に参加してきました。

 

ここで言うキャッシュフローとは、ロバートキヨサキ監修のボードゲームキャッシュフロー101」のことです。

 

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このゲームのテーマは、勤め人の生活(ゲーム中ではこれをラットレースと呼ぶ)を抜け出して、不動産その他の不労所得で生活しよう!というものです。

 

何かと不穏な評判を聞くこのゲームですが、今回は天岩庵さんという信頼できる主催者のもとでこのゲームを遊ぶことができました。

 

本記事では極力先入観を廃し、一人のゲーマーとしてこの「キャッシュフローゲーム」のゲーム自体を評価していきたいと思います。

 

価格

この「キャッシュフローゲーム」、販売価格が30000円くらいしているらしいです。それを聞いた私は、思わず「あれ?モノポリーっていくらだったっけ?」と質問してしまいました。ちなみに、Amazonによると、モノポリーの通常版の参考価格が3080円、実際の販売価格は2000円程度でした。内容物の量でモノポリーと大差ないキャッシュフローゲームに30000円というのは納得できません。(個人の感想です)

 

ゲームの流れ

ここからは「キャッシュフローゲーム」の流れを説明します。

 

このゲームには、ラットレースとファーストトラックの2つのフェイズがあります。

 

プレイヤーはラットレースのフェイズからゲームを始めます。ここではプレイヤーは賃金労働者として生活します。プレイヤーは最初にランダムで職業を決め、職業によって収入額や支出額の初期値が決まります。

 

ラットレースでは、プレイヤーは手番になったらダイスを1個振り、盤面を進んでいきます。途中、給料日マスに止まるか通過するかしたら収入を獲得します。

 

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収入と支出はこのようなシートで管理し、収入から支出を引いた額を受け取ります。

 

機会カード、市場カード、浪費カードのマスに止まったら、対応するカードを引きます。機会カードのマスに止まったら、ビッグもしくはスモールいずれかの機会カードを選んで引きます。このカードの内容によって、不動産や株などの資産を購入できる場合があります。

 

不動産を買う場合は頭金を支払い、以後給料日ごとに収益が発生します。不動産を購入する権利を他のプレイヤーに売ることもできます。

不動産売却時には売却額からローン額を差し引いた額を受け取ります。機会カードまたは市場カードの効果によっては不動産を売却する機会が発生します。不動産を売却した場合は、売却額からローン額を差し引いた金額を受け取ります。

 

株の機会カードを引いた場合は、引いたプレイヤーがカードに指定された額で株を購入できます。同時に、全てのプレイヤーはカードに指定された額で株を売却できます。株は株式分割で増えたり、不祥事で減ったりする場合もあります。

 

他にも投資信託や自分でビジネスを始めるといった内容の機会カードもありますが、説明は省きます。なぜ省くかというと、このゲームはとにかく不動産が重要で、他の資産は大して重要でないという世界観でデザインされているからです。

 

そうやって給与生活をしながら資産を買い、ローンを返済し、不労所得が支出を上回ったら、晴れてファーストトラックに移動します。

 

ファーストトラックでは、キャッシュフローデーの収入を得ながらビジネスを買っていき、キャッシュフローの収入を上げていきます。キャッシュフローの収入額が一定額を超えるか、ゲーム開始時に選んだ「夢」のマスに止まってその夢を買うかしたら勝利となります。

 

ところで、ファーストトラックに入る際、キャッシュフローデーの収入が、それまでの不労所得収入の100倍になります。その理由というのが、

「あなたが不労所得の100倍を受け取れるのは、

ファイナンシャル・インテリジェンス(お金に関する知性)を持っていることが証明されたから。

ラットレースでの投資で成功し、収益をうまく再投資して不労所得を100倍に増やすことができた。」

という謎理論なので、私は「なんやかんやで」と脳内変換しました。

 

感想

で、実際に遊んでみての感想。

 

ダイスを振ってコマを進め、行った先の指示に従うというゲーム構造はあまりに古臭いと言う他ありません。「モノポリー」の登場から何年経ったと思っているのでしょうか。

 

収入や支出はシートに書き込んだり消したりして管理するのですが、近年の洗練されたゲームに慣れた私にとっては非常に煩雑です。現実世界を忠実に再現するために細かく数値を管理するなら分かるのですが、このゲームの数値設定がそこまで緻密であるとはとても思えません。

 

先ほども触れた通り、ラットレースフェイズで最も重要な資産は不動産です。不動産を売り買いして数万ドル単位の収入を上げ、それを元手にさらに不動産を買うというのがこのゲームの勝ちパターンです。それ以外の資産はほとんどの場合ゲームに大きな影響を及ぼしません。この不動産偏重のゲームデザインに、制作者の世界観というか、ポジショントークを強く感じます。

 

その不動産ですが、基本的に機会カードで引かないと買えません。つまり、運が悪いといつまで経っても勝ちに近づけません。運ゲーです。「不動産を売買して儲けよう」というポジショントークを、いい物件を買えるかは運次第というゲーム構造で台無しにしているのは、果たして制作者の意図なのかどうか。

 

こういう構造なので、うまく不動産で儲けた人はどんどん先に進んでいき、そうでない人は延々ラットレースを続けることを余儀なくされます。開始時の収入差も含め、ゲーム中でも格差を思い知らされるのは、正直しんどいです。

 

また、このゲームは借金というものをあまりに軽く扱っているようにも感じました。平凡な労働者が何万ドルという不動産ローンを組むという世界観にはリアリティを感じません。私はふと、このゲームがサブプライム住宅ローン危機が発生する前に作られたゲームだと言うことを思い出しました。

 

サブプライム住宅ローン危機 - Wikipedia

 

ファーストトラックに突入すると、あとは盤面を回ってビジネスを買い、「夢」を買うしかやることがなくなります。私自身はそこまで到達しないままゲームが終了してしまいましたが、ファーストトラックを回っている人の手番は私からは退屈に見えました。現実世界で不労所得で暮らしている人は、今度は退屈に悩まされている、このゲームにはそんな主張があるのかも知れません。

 

ちなみに私はゲーム中、自分で工作機械のビジネスを始め、それが成功してキャッシュフローを生むという展開を引き当てました。ラットレースを抜け出して投資の収益で暮らす人と、自分の手でビジネスを作り上げて働き続ける人、どちらがより良い人生なのだろうか、そんなことを考えたりもしました。

 

 

まとめると、これまで散々酷評した通り、「キャッシュフローゲーム」はゲームとしては不出来で、2回目をやりたいとは思いません。

ただ、今回は天岩庵さんが機会を作ってくれ、ゲームの難点についてツッコミを入れて笑い合えるメンバーが集まったおかげで、(ゲーム制作者の意図とはかけ離れた形で)楽しむことができました。

この記事を読んで「キャッシュフローゲーム」に興味を持たれた方は、天岩庵さんに置いてありますので、天岩庵さんに足を運び、信頼できる天岩庵スタッフさんのもとで遊ぶことをお勧めします。

 

 

以上で5月2日のキャッシュフローに親しむ会の報告を終わらせていただきます。